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トレッキングやさしい阿蘇

中阿蘇トレッキングレポート

日   時 平成14年6月19日(水)午前9時 阿蘇総合庁舎玄関出発
天   候 曇 時々 晴
視察場所 阿蘇火口周辺ルート〔仙酔峡ロープウェイ山上〜中岳〜高岳〜砂千里〕


 さあ今日は、待ちに待った阿蘇火口トレッキングコース現地視察だー!。 
6月中旬の雨が降りそうで降らないような朝靄の中、阿蘇総合庁舎玄関前に8時50分集合。今日の参加者は、地域政策課から古城参事、阿蘇地域振興局から本田次長・緒方参事、九州のムラから養父編集長、オフィス談より羽田野さん、阿蘇DCより坂元事務局長・古澤・山室・足立と勢揃いのメンバーだ。みなさん世界の阿蘇をトレッキングする意気込みなのか、リュックをからい、靴は某メーカーの専用靴にペットボトルにUVケアと服装等に気合いが入っていました。
 揃ったところで9時過ぎに2台の車で分乗。いざ、出発。
まず仙酔峡ロープウェイ乗り場からロープウェイで山上付近まで乗っていきました。ロープウェイ大人片道料金が750円。ロープウェイの延長1,500m。下のロープウェイ乗り場の標高900m。上のロープウェイ乗り場の標高1280m。標高差380m。所要時間約9分。と、ロープウェイガイドの目のぱっちりとしたお姉さまが説明されました。このお姉さんにカメラを向けるととてもいやがっていたのはなぜかなー。隙を見てパチリ。
ロープウェイ山上に着き(am9:40)、突然呼吸が苦しくなったなと思ったところに本日ガイドをお願いしてた、阿蘇火山博物館の池辺館長と京都大学火山研究所の中坊さんが、「それは二酸化イオウのせいです。」と言って来られました。
  「今日はガスが多くでています。「気管支の弱い方や心臓病をお持ちの方は吸わない方がいいですよ。」という説明に、みなさんタオルを顔に巻き付けマスク代わりとしていました。「一見テロ組織みたいだ。」
 阿蘇DCトレッキング担当の古澤さんから本日のトレッキングルートの説明を受けてトレッキング開始。 






 アスファルトの道を火口方面へ歩きます。道の左側は、溶岩が流れた後が見えますがブツブツ上に見えるものは、アグルチネートと呼び火口から飛んできて転げてきたもので、溶岩ではないと池辺館長が説明されました。途中牧柵の切れたところから中岳山頂に向かう尾根を分岐点となっており、そこから阿蘇火口付近が一望できます。中坊さんが、「火口からでている白い煙が水蒸気、青色の煙が二酸化イオウの煙です。」「沢はガスが溜まっているので歩かないように。」と説明。
  尾根を歩くには、足元が砂地と代わり大変滑りやすくなっています。
 坂元局長はなにを考えたのか、いきなりダッシュで先頭の方に行ってしまい、団体行動を乱してしまいました。
中岳山頂向かう途中で、何十も火山灰が重なった地層があり、何度もマグマ水蒸気爆発しているのが一目でわかります。火山灰があってその上にアグルチネートが被さっている感じでした。
周りは安山岩が転々と飛び散り、砂状のところが赤いのは、鉄分で、酸素にふれて酸化しています。
地層に土が無いのでいつ頃に活動したのが特定できないとのことです。
 地層の中や地表では、スコリヤ(黒い色の軽石)も転々としていました。
白色の軽石と黒色の軽石は、マグマの成分が違うとのことです。黒曜石は100%ガラスの成分です。40%以上のガラス成分だとスコリヤで、スカスカの石は白色の軽石になります。と専門的な説明がりました。
また、近くに火山弾が衝突してできたクレーターもあり、活動の凄まじさが伺えます。足元に石版が割れているのも見られ、説明では、「割れ目が多いのは6角形が多い。」「120度で力の加減で均等に割れる。」とのことです。
いろいろと説明を受けながら歩いていくといつの間にか中岳山頂(標高1,506m)に到着(am10:55)。
そこからも阿蘇の火口列が一望できます。「火口列が南北に1.5kmに延び、クラーク(割れ目)がありマグマがしみ出ている。」「噴火は普通ストンボリに噴火するのだが、水が溜まっているのでならない。」と中坊さんが説明されました。
 中岳山頂から高岳山頂に向かい、ごろごろと岩石がある中を歩いていきます。約35分歩きやっと高岳山頂に到着(am11:30)。
高岳山頂では、平坦地では見られない世にも奇妙で仮面ライダーアギトみたいな模様をした極太テントウムシがいました。
一匹、二匹と少数だったら珍しいですが、大量にいてみんなの体に2,3匹止まって「なんじゃこりゃー。」の状況でした。ただ不思議なくらい高岳山頂だけしかいませんでした。(昆虫専門の先生に聞いてみよう。)
また、烏帽子岳、杵島岳は同じ標高でも植物があるのだが、高岳山頂には植物がないので、イオウの関係で火口付近は植物が生えないそうです。
 生まれて初めて高岳山頂で昼食をとりました。(約30分間)
 昼食を食べて一息しまして、砂千里へ向かいます。


 途中、数年前に熊本市の白川中学生が遭難にあった碑がありました。二度と人的災害が起きないことを祈って、南無阿弥陀仏。
 高岳山頂から砂千里への最短ルートを歩くには、「普通ヘルメットをかぶらないといけなく、普通に行くと怪しいものと見られる。普通観光客は通れない。警備員が止めに来る。自殺者だと勘違いする。」と中坊さんが説明しました。付け加えて「私がいますので大丈夫です。」と。
 そこから見る景色は、東方面方面望むと草千里が一望でき、北側方面を望むと阿蘇の切り立った岩石が様しく「グランドキャニオン」のように壮大に広がっています。
 最短ルートを通るところは急な下り坂で、小学校の中学年以上じゃないと通れないのではないかと思いました。トレッキングルートとするなら黄色い杭かロープを張るとよいのではと思いました。
砂千里では、数年前黒沢監督が映画の撮影にきています(映画の題名は確か影武者ではなかったかな)。
黒みのかかった少し粒の大きな砂地をザクザクと歩き、所々に小古墳みたいなものも見られ、「雑草の根が張って古墳のように浸食しました。」とのことです。


 また、人間の大人の大きさぐらいのきれいな球形をした火山弾も見られました。なぜ火山弾が丸いのか、飛んできているところを見たことがないので確かなことははからないとのことでした。もし火山弾が飛んでくるような場面に遭遇したときは、背を向けて逃げるとかえって危なく、落ちるところを見ながらさけて避難するとよいそうです。
ようやく近くの駐車場に到着(pm2:05)。
案内板の前に設置されたベンチにみんなドカっと腰を下ろしました。
 そこには記帳所が設置され、阿蘇を歩いた方のそれぞれの思いが綴られていました。
トレッキングルート前行程終了。(所要時間約4時間34分)
 本日初めて高岳ルートを回り、また普段観光客が通れないルートも歩き、いつもしたから眺めていた高岳を実際に上り、感無量の気持ちです。
池辺館長や中坊さんの説明を一つひとつ聞きながら新たに阿蘇を再認識し、自分にとって大変貴重な体験ができたと思いました。
今後、国際級トレッキングコースとして、ガイドの依頼や立入禁止箇所(二酸化イオウ等)を整備し、また米塚の溶岩洞窟や地獄谷方面、根子岳方面を組み合わせたルートとの結びつきなど、いろいろと模索しながら検討しなければならないと思います。
所要時間 仙酔峡ロープウェイ
仙酔峡ロープウェイ山上出口から中岳山上
中岳山上から高岳山上
高岳山上にて昼食
高岳山上からロープウェイ駐車場
約9分間
約1時間15分
約35分
約30分
約2時間5分
トータル 約4時間34分(昼食時間・観察時間含む)